懐かしさにも似たぬくもりが心に響く飛騨びとの歴史。
凛とした空気をまとったいにしえのたたずまいから漂う
何気ないやさしげな雰囲気がジーンと胸を打ちます。
厳しい自然環境のなかで営む暮らしに願いをこめた
人々の思いが語りかけてくるみたいなタイムカプセル感覚。
まるで過ぎ去った時代がすぐそこにあるかのように。
明治、江戸、安土桃山、室町、鎌倉・・・、近世から中世へと
その感覚は奥へと進むほどに、深く心の中にはいり込み、
それぞれの時代の栄華やライフスタイルをそっと映しだします。
一つひとつが温かく感じられるせいか、静かな吐息とともに
忘れていた記憶がよみがえるような心地よさを感じてしまう。
  
縄文の時代から営まれてきた飛騨・高山の暮らしの技が
大化の改新以後、「匠の技」という名で各地で腕を奮った。
こんな事実がドラマのように行われてきたことへの
ロマンチックな感動は簡単には言葉にできないほど大きい。
木を知り、木を操り、木を活かすことから始まった。
飛騨びとならではの技術は、なにものにもとらわれずに
技と技の出会いによって磨かれ、伝統へと高められたもの。
そして、その熱いパッションはいつまでも生き続け、
「匠の技」をまるで生き物のように、いまなお成長させています。
そう、この壮大なドラマはまだ終わっていないのです。
過去に作られてきた作品も新しく生まれようとする作品も
これからまた大きな歴史ストーリーを描きあげるはず、
その証人としてここにいる喜びを心ゆくまで堪能したい。

◆◆◆ 飛騨・高山 匠の技 目次 ◆◆◆